秋になると、店頭のかぼちゃはぐっと色が濃くなり、煮物、焼きもの、ポタージュへと出番が増えていきます。ほくほくした甘みは、食卓を少しゆっくりしたものにしてくれます。
黄金色の果肉に多いβ-カロテンは、かぼちゃを選ぶ楽しみの一つです。この色の成分は、食材に含まれる量だけでなく、一緒に食べるものによって体への届き方が変わります。
かぼちゃは脂質がごく少ない野菜です。だからこそ、少量の油を使う料理や、ごま、ナッツ、卵などを添える一皿には、味わいとは別にカロテノイドを食卓へつなぐ意味があります。
人を対象にした食後の試験では、野菜と合わせる脂質の種類や混ざり方で、血液中に現れるカロテノイドの量が変わりました。秋のかぼちゃを、色と香りを楽しみながら味わうための、身近な組み合わせを見ていきます。
記事の要点
- 西洋かぼちゃは可食部100gあたりβ-カロテン2,500μgを含み、鮮やかな果肉の色そのものがカロテノイドを含む目印になります。
- 健康な成人16人のクロスオーバー試験では、カロテノイドの多いサラダに添える脂質の種類と混ざり方で、食後の血中カロテノイド反応が変わりました。
- 焼きかぼちゃに油を使う、温野菜にごまを加える、かぼちゃをスープにする。いつもの献立にある組み合わせが、色の成分を食卓から運びます。
秋のかぼちゃにある、黄金色の成分
かぼちゃは夏から秋に収穫され、保存しながら冬の食卓にもつながってきた野菜です。農林水産省の案内では、丸ごとのかぼちゃを10℃前後で風通しのよい場所に置くと追熟が進み、水分が抜けて甘みが増していきます。
収穫の季節から冬至まで、食卓で長く親しまれてきた理由の一つです。
文部科学省の食品成分データベースでは、西洋かぼちゃの可食部100gにはβ-カロテンが2,500μg、β-カロテン当量が2,600μgと記載されています。β-カロテンは、体が必要とする量に応じてビタミンAへ変わるプロビタミンAの一つです。
カロテノイドは、かぼちゃの橙色、にんじんの赤み、葉物野菜の濃い緑、トマトの赤などに関わる植物由来の色素です。食卓で目にする色の違いは、料理を選ぶときの小さな手がかりになります。
かぼちゃは甘みがあるため、油を使った焼きものや炒めものにも、だしを生かす煮物にもなじみます。その幅が、季節の野菜をいろいろな組み合わせで楽しめる理由です。

カロテノイドが食事から体へ入るまで
カロテノイドは脂に溶ける性質を持ちます。食事と一緒に胃から小腸へ進むと、胆汁と食事中の脂質が混ざり、細かな粒子の集まりができます。カロテノイドはこの流れに入り、小腸から吸収された後、食後には血液中の脂質を運ぶ粒子とともに見つかります。
この仕組みは、カロテノイドを含む食材に脂質を加えた料理を考えるときに役立ちます。油をまとわせた焼きかぼちゃ、卵と合わせたサラダ、ごまを散らした温野菜、牛乳や豆乳を使うポタージュ。料理の中で脂質が野菜と混ざることが、カロテノイドが動く場面になります。
食材の栄養は、成分表の数字だけで終わりません。切り方、加熱、料理の水分、添える食材で、一皿の中の形が変わります。かぼちゃのように色の濃い野菜は、食事全体の組み合わせを考える入り口になります。
人の試験で見えた、脂質の種類と混ざり方
2023年に報告された無作為化クロスオーバー試験では、健康な成人16人が、同じカロテノイド豊富なサラダを4回食べました。サラダには28gのオリーブ油またはココナツ油を合わせ、油をそのまま添える条件と、乳化して混ぜる条件を比べています。
食後10時間、血液中のルテイン、ゼアキサンチン、α-カロテン、β-カロテン、リコピンなどを測定しました。
食後の総カロテノイド反応は、オリーブ油の条件でココナツ油の条件より55.2%高く、乳化した条件では油をそのまま添えた条件より40.0%高くなりました。α-カロテンとリコピンでも、オリーブ油の条件で高い反応が報告されています。
研究で使われたのはかぼちゃではなくサラダなので、この数値をかぼちゃ料理そのものの結果としては扱いません。それでも、色の濃い野菜と脂質を同じ一皿で混ぜることに、人で確かめられた意味があることは伝わります。
この試験が描いたのは、食材を単独で並べるより、料理として組み合わせたときの姿です。脂質の量を増やす話ではなく、野菜の色と、料理に使う脂質が出会う場面に目を向ける話です。かぼちゃは煮物だけでなく、焼く、和える、スープにするなど、混ざり方を変えながら味わえます。
かぼちゃを一皿で楽しむ組み合わせ
かぼちゃの食べ方は、特別な献立でなくても広がります。オーブンやフライパンで焼くときに少量のオリーブ油を使い、塩やハーブで香りを添える。蒸したかぼちゃにすりごまや砕いたナッツを合わせる。
温かいスープにして、牛乳、豆乳、ヨーグルトを少量使う。どれも、かぼちゃの甘みとカロテノイドを、ほかの食材と一緒に楽しむ方法です。
食卓では、かぼちゃだけを主役にする日も、ほうれん草、にんじん、赤パプリカ、トマトと並べる日もあります。色の濃い野菜が一皿に集まると、料理は見た目にも豊かになります。そこへ卵、魚、ごま、ナッツ、油を使ったドレッシングなどを組み合わせると、食感や香りにも変化が生まれます。

まとめ
かぼちゃの黄金色には、β-カロテンをはじめとするカロテノイドが含まれています。西洋かぼちゃ100gのβ-カロテンは2,500μgです。食後の人の試験では、カロテノイド豊富なサラダに合わせた脂質の種類と混ざり方で、血液中のカロテノイド反応が変わりました。
秋のかぼちゃを焼くときに少量の油を使う。ごまやナッツを添える。スープやサラダにする。
いつもの料理にある組み合わせが、かぼちゃの色、甘み、カロテノイドを一緒に楽しませてくれます。季節の野菜を食卓へ迎えるとき、色の濃い一皿と、そのそばにある脂質の組み合わせも味わってみてください。
参考文献
- 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年. 西洋かぼちゃ、果実、生. https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06048_6&MODE=0
- 農林水産省. かぼちゃに関する故事・ことわざ. https://www.maff.go.jp/j/heya/annai/tusin/attach/pdf/index-141.pdf
- Yao Y, Yang Z, Yin B, et al. Effects of dietary fat type and emulsification on carotenoid absorption: a randomized crossover trial. Am J Clin Nutr. 2023;117(5):1017-1025. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36921903/