細胞が機能を落とすとき:慢性的な不調に隠れた防御のしくみ

細胞が機能を落とすとき:慢性的な不調に隠れた防御のしくみ

同じ生活を送っていても、体調を大きく崩す人と、そうでない人がいます。同じウイルスに感染しても、数日で回復する人もいれば、何ヶ月も強い倦怠感が抜けない人もいる。

「同じ刺激を受けているのに、なぜ人によって結果がこれほど違うのか」という素朴な疑問に、これまでの医学は十分に答えられずにきました。近年、その手がかりとして注目されているのが、細胞そのものに備わった、ある防御のしくみです。

慢性的な疲れ、原因がはっきりしない不調、年齢を重ねるとともに増えていく体の変化の裏で、細胞が「機能をあえて落として身を守る」状態に入っているのではないか、という見方が海外の研究者の間で広がっています。

今回は、この細胞レベルの防御反応について、発見の経緯と体の中での働きを紹介します。

記事の要点

  • 体は脅威を感知すると、細胞内のミトコンドリアがエネルギー産生をあえて抑え、防御にあたる信号を出すモードへ切り替わることが報告されています。

  • この状態は慢性疲労症候群の患者の代謝パターンとして確認されており、線虫が過酷な環境を生き延びるためにとる休眠状態と重なる特徴を持ちます。

  • 防御が長引くと全身のさまざまな不調につながりうる一方、加齢とともに元へ戻る力が弱まっていく可能性も示唆されています。