アトピー性皮膚炎は、日本国内でも多くの方が悩んでいる慢性的な皮膚疾患です。子どもから大人まで幅広い世代に見られ、かゆみや乾燥、湿疹を繰り返すことで日常生活に大きな影響を及ぼします。
近年、日本ではアレルギー疾患全般が増加傾向にあり、アトピー性皮膚炎もその例外ではありません。
アトピー性皮膚炎の原因としては、遺伝的な体質や環境要因、ストレスなどさまざまな要素が挙げられてきましたが、なかでも皮膚のバリア機能との関連は長く議論されてきました。
特に、皮膚の角層に存在する脂質「セラミド」の量が少ないことは、以前から知られていました。
しかし、セラミドが減っているのは炎症の「結果」なのか、それとも「原因」なのかという根本的な問いには、明確な答えが出ていませんでした。
今回、宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの芋川玄爾特任教授らの研究チームが、この長年の疑問に決着をつける画期的な研究成果を発表しました。
セラミドの欠乏こそがアトピー性皮膚炎を引き起こす直接的な出発点であることを、世界で初めて実験的に実証したのです。
記事の要点
- 角層脂質セラミドの欠乏がアトピー性皮膚炎の直接原因であることを世界で初めて実証した。
- セラミド欠乏がバリア低下、水分喪失、神経増生、Th2型アレルギー炎症を連鎖的に誘導する。
- 病態を再現する新規トランスジェニック動物モデルを確立し、予防的スキンケアや新治療法への応用が期待される。