年齢を重ねると、肝臓では脂肪の蓄積や炎症、線維化が進みやすくなり、細胞の中ではミトコンドリアや小胞体の働きも少しずつ低下していきます。
こうした変化は長い時間をかけて積み重なるため、食べ物に含まれる一つの成分で動かせるものではないと思われがちです。
ところが2026年8月、柑橘類に含まれるフラボノイドの一種「ヘスペレチン」を高齢マウスに5か月間与えたところ、肝臓に現れていた加齢性の遺伝子発現変化の約24%が若い方向へ戻り、脂肪肝や炎症、線維化の兆候も軽くなったという研究が『npj Aging』に発表されました。
研究チームは、その中心に長寿関連遺伝子Cisd2と、それを動かすHmgcs2―Pparα経路があることを突き止めています。
記事の要点
21か月齢の雄マウスにヘスペレチン100mg/kg/日を5か月与えると、肝臓の加齢性遺伝子発現変化の約24%が逆転しました。
脂肪蓄積、炎症、線維化、肝障害の指標が改善し、ミトコンドリアと小胞体、タンパク質の折りたたみに関わる経路も若い方向へ変化しました。
効果の中心はHmgcs2―Pparα―Cisd2経路で、ヒト肝組織80検体でもPPARαとCISD2は年齢とともに低下していました。