マグネシウムは、体の中で六百を超える反応にかかわるミネラルです。その補い方として、百年あまり前から各国で用いられてきたのが塩化マグネシウムでした。
1915年、フランスの外科医ピエール・ドルベは、傷口を洗う溶液を探すなかで、塩化マグネシウムの溶液が組織を傷めず、白血球のはたらきを高めると報告しました。
やがてこの溶液は、皮膚に塗る、湯に溶かす、口から飲むといった複数の形で取り入れられ、「急性および慢性疾患における塩化マグネシウム」という形で各国の読者へ紹介されていきます。
時代が下り、こんにちではランダム化比較試験やメタ解析という精度の高い方法で、マグネシウムと血圧、炎症、代謝、気分、睡眠との関わりが調べられています。
今回は、塩化マグネシウムという物質の成り立ちと歴史という基礎から、近年の臨床研究までを一本にまとめます。
◼️記事の要点
塩化マグネシウムは水に溶けやすく、胃から腸まで幅広いpHでイオン化するため、酸化マグネシウムよりも吸収されやすいミネラル源として古くから用いられてきました。
フランスのドルベとヌヴーが20世紀前半に臨床で使って以来、塩化マグネシウムは経口、経皮、入浴という複数の形で世界各地に広まり、家庭でも取り入れられてきました。
近年のランダム化試験やメタ解析では、血圧、炎症の指標、インスリン感受性、気分、睡眠との関わりが報告され、不足を補う意味が見直されています。