心の健康を左右する要因は実にさまざまですが、近年、食事や栄養素が精神疾患に与える影響が世界的に注目を集めています。なかでもオメガ3脂肪酸は、脳の機能や炎症の調節に深くかかわる栄養素として、数多くの研究対象になってきました。
日本はもともと魚食文化が根づいた国ですが、食の欧米化やファストフードの普及に伴い、若い世代を中心に魚の摂取量は減少傾向にあります。
厚生労働省の調査でも、日本人の魚介類摂取量はこの20年ほどで大きく減っています。一方で、うつ病や不安障害など精神疾患の受診者数は増加を続けており、栄養面からのアプローチがこれまで以上に求められています。
2026年4月、ドイツのウルム大学を中心とした研究チームが、オメガ3脂肪酸と精神疾患の関係を幅広くまとめたレビュー論文を学術誌Frontiers in Nutritionに発表しました。
統合失調症やうつ病、双極性障害、不安障害、PTSD、摂食障害、ADHD、自閉スペクトラム症、さらにはアルツハイマー病まで、主要な精神疾患を横断的に検証したこの論文の内容を、詳しくお伝えします。
記事の要点
- うつ病や統合失調症など多くの精神疾患の患者では、血液中のオメガ3脂肪酸(とくにDHAやEPA)が低下し、オメガ6/オメガ3比が上昇している傾向がみられる。
- EPA優位のオメガ3サプリメント(1日1〜2g)を標準治療に併用することで、とくにうつ病の症状改善に対して有望なエビデンスが蓄積されており、国際的な臨床ガイドラインでも推奨され始めている。
- オメガ3脂肪酸の効果は疾患や個人の状態によって異なり、炎症マーカーが高い人やベースラインのオメガ3レベルが低い人ほど効果が出やすい可能性がある。