同じ新型コロナウイルスに感染しても、数日で回復する人もいれば、肺に強い炎症が広がって入院に至る人もいます。ワクチン接種歴や基礎疾患の有無だけでは説明のつかないこの分かれ目に、免疫の中にある一つの「ブレーキ」が壊されているかどうかが関わっているかもしれません。
2026年9月11日に医学誌『PLOS One』に掲載された研究が、そのブレーキの正体と、壊れたブレーキを立て直す可能性のある成分について報告しています。
研究チームが注目したのは、血液の中で最初にウイルスと向き合う単球やマクロファージという免疫細胞です。新型コロナの重症化には、これらの細胞が炎症物質を大量に放出する「サイトカインストーム」が深く関わってきたと報告されています。
コロンビアの研究グループは、COVID-19患者の免疫細胞の遺伝子発現と、ウイルスを感染させた細胞での実験を組み合わせ、炎症が暴走する仕組みを詳しく調べました。
見えてきたのは、炎症を焚きつける仕組みと、それを抑えるはずだったビタミンD受容体という仕組みの、両面で起きていた異変でした。
記事の要点
- 新型コロナに感染した免疫細胞では、炎症物質のインターロイキン6(IL-6)が過剰に作られ、重症化と関連することが報告されています。
- その炎症を抑えるはずのビタミンD受容体(VDR)の働きが、ウイルスによって止められていたことも示されています。
- 実験では活性型ビタミンDを加えると、暴走したIL-6の産生だけが選択的に鎮まったと報告されています。