骨を強くする栄養素、と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのがビタミンDです。日光を浴びると皮膚で作られ、カルシウムの吸収を助けることでよく知られています。ですが、もし同じ栄養素が、加齢とともに気になってくる脳の健康にも関わっているとしたらどうでしょうか。
もの忘れや認知機能の低下は、多くの人が歳を重ねる中で意識するようになるテーマです。アルツハイマー病は、脳にたまる特定のタンパク質、慢性的な炎症、細胞のエネルギー産生の乱れ、血糖にまつわる変化など、いくつもの要因が絡み合いながら進むと考えられています。
骨の栄養素として親しまれてきたビタミンDが、この複雑な病気に対して一つではなく複数の経路から働きかけている可能性がある、とする総説が専門誌に報告されました。
記事の要点
ビタミンDは脳内の受容体を介して、アミロイドβの排出や神経の炎症の抑制など複数の経路に関わる可能性があると報告されています。
慢性的な神経炎症、酸化ストレス、ミトコンドリア機能、インスリン抵抗性など、アルツハイマー病に関わるいくつもの要因にビタミンDが同時に介入しうるとされています。
2026年に専門誌へ掲載された総説は、これまでの分子・細胞・動物・臨床研究を統合し、ビタミンDを多面的な神経保護因子として位置づけています。