漠然とした不安が続く、理由もなく落ち着かない、ちょっとしたことで気持ちがざわつく。そんな状態が長引くと、性格や気の持ちようの問題として片づけられがちです。
けれども近年、不安という心の状態の背景に、脳内のある栄養素の偏りがあるのではないかという視点から研究が進んでいます。注目されているのが、コリンという栄養素です。
コリンは記憶や学習に関わる栄養素として知られてきましたが、最近のメタ解析では、不安障害を抱える人の脳内でコリンの量が低い傾向があると報告されました。
心の状態と、日々の食事から摂る栄養素が、これまで思われていた以上に近いところでつながっているのかもしれません。
今回は、不安とコリン不足の関係を、最新の知見と体の中の仕組みから読み解いていきます。
記事の要点
- 不安障害を抱える人の脳内では、コリン関連物質の量が平均で約8%低い傾向にあり、特に感情処理に関わる前頭前野でその差が目立つと、複数の研究をまとめたメタ解析で報告されています。
- コリンは神経伝達物質アセチルコリンや細胞膜の材料となり、アセチルコリンは抑制性のGABAの放出を調整するため、コリンが足りないと脳の興奮と抑制のバランスが崩れやすくなると考えられています。
- コリンは食事からの摂取に加え、体内ではメチオニン・葉酸・ビタミンB12が関わるメチル化の経路でも合成されるため、これらの栄養素を一緒に意識することがコリンを支える鍵になります。