最新|糖尿病が心臓を静かに壊すメカニズム:ミトコンドリア機能障害という隠れた脅威

最新|糖尿病が心臓を静かに壊すメカニズム:ミトコンドリア機能障害という隠れた脅威

糖尿病の患者さんにとって、血糖値の管理は日々の大きな課題です。しかし、血糖値をしっかり管理していても、知らず知らずのうちに心臓がダメージを受けている可能性があることをご存じでしょうか。

動脈硬化や高血圧とは無関係に、糖尿病そのものが心筋を傷つける糖尿病性心筋症という病態があります。

初期には自覚症状がほとんどなく、心筋の微妙な硬化から始まりますが、進行すると本格的な心不全に至ることがあります。

日本では糖尿病とその予備軍を合わせると約2,000万人ともいわれ、高齢化の進行とともにその数は増え続けています。

糖尿病による心臓合併症は、糖尿病患者の死亡原因の大きな割合を占めていることが知られていますが、そのメカニズムにはまだ不明な点が多く残されていました。

このたび、北京大学第一病院、首都医科大学北京朝陽病院らの研究チームが、査読付き学術誌 Antioxidants にレビュー論文を発表しました。

この研究では、細胞の「エネルギー工場」であるミトコンドリアの機能障害が、糖尿病性心筋症の中心的な原因であることを詳細に解説しています。

今回は、この研究と関連情報をもとに、なぜ糖尿病が心臓を静かに壊していくのか、そのメカニズムと治療の展望をお伝えします。

記事の要点

  • 糖尿病性心筋症は、動脈硬化や高血圧とは無関係に発症する糖尿病特有の心臓障害であり、初期には自覚症状がほとんどない。
  • ミトコンドリアのエネルギー産生、構造的バランス、廃棄物除去という3つの主要なプロセスが破綾することで心筋が傷害を受ける。
  • 既存の糖尿病治療薬の一部にミトコンドリアを保護する作用があり、新たな治療戦略の可能性が見えてきている。