テレビの音量が、以前より大きくなっていないでしょうか。家族との会話で、聞き返すことが増えた。そんな聞こえの変化に心当たりがある一方で、ここ最近なんとなく気分が沈みがちだと感じている方もいるかもしれません。
聞こえの悩みと気分の落ち込みは、一見すると別々の話に思えます。ところが2026年6月、この二つが同じ栄養素を通じてつながっている可能性を示す大規模な研究が、学術誌Frontiers in Nutritionに報告されました。
手がかりになっているのは、日光を浴びることで体内に作られる栄養素、ビタミンDです。難聴のある成人96,000人以上を12年間追跡したこの研究では、血液中のビタミンDが不足していた人ほど、その後うつ病を発症するリスクが高かったと報告されています。
聞こえの変化は中高年以降に増えていく悩みで、外出や人との会話が少しずつ減っていく時期と重なりやすいものでもあります。
聞こえの変化を感じ始めた時期は、ビタミンDという栄養素にあらためて目を向けるきっかけになりそうです。
記事の要点
難聴のある成人96,000人以上を12年間追跡した研究で、血中ビタミンDが欠乏していた人(20ng/mL未満)は、十分だった人に比べてうつ病を発症するリスクが57%高かったと報告されました。
ビタミンDが不足気味の段階(20~29.9ng/mL)でも発症リスクは37%高く、血中濃度が低いほどリスクが上がる量反応関係がみられました。
うつ病だけでなく、再発性のうつ病や自殺関連行動、全死亡率についてもビタミンD欠乏群で高い傾向が示され、聞こえの変化は体全体を見直す一つの合図になりそうです。