テキサスA&M大学のマウス実験で、アントシアニンがトリプルネガティブ乳がんに有望な結果
乳がんは世界的に女性がもっとも多くかかるがんのひとつであり、日本でも罹患数は年々増加しています。
国立がん研究センターの統計によると、女性のがん罹患数で乳がんは第1位を占めており、9人に1人が生涯で乳がんと診断されるとも言われています。
早期発見・治療の進歩により生存率は向上していますが、一方で治療が難しいタイプの乳がんも存在します。
そのなかでもとくに厄介とされるのが、トリプルネガティブ乳がんです。
エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2タンパクという三つの分子標的をいずれも持たないため、ホルモン療法や分子標的薬が効きにくく、治療の選択肢が限られています。
がん細胞の増殖が速く、肺や脳など遠隔臓器への転移リスクも高いことから、研究者たちは従来の化学療法を補う新たなアプローチを模索し続けています。
こうしたなか、食品に含まれる天然成分の抗がん作用への関心が高まっています。
今回ご紹介するのは、テキサスA&M大学の研究チームが発表した、ダークスウィートチェリーに含まれるアントシアニンという天然色素が、トリプルネガティブ乳がんの増殖と転移を抑える可能性を示したマウス実験の研究成果です。
記事の要点
- ダークスウィートチェリーに含まれるアントシアニンを腫瘍移植前からマウスに投与したところ、目立った副作用なく腫瘍の成長が遅くなり、肺をはじめ複数の臓器への転移も抑制された。
- アントシアニンは単独でも化学療法との併用でも、がんの転移や治療耐性に関連する遺伝子の活性を低下させ、化学療法と組み合わせるとより早期に腫瘍増殖が鈍化した。
- 今回の結果はマウス実験段階であり、ヒトへの応用にはさらなる研究が必要だが、食事由来の天然化合物が従来のがん治療を補完する戦略として有望であることを示唆している