最新 | マグネシウム不足が重症化を招く:血液検査では見抜けない落とし穴

最新 | マグネシウム不足が重症化を招く:血液検査では見抜けない落とし穴

ICU患者の65%がマグネシウム欠乏状態という現実

マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素反応にかかわるミネラルです。エネルギーの産生、神経の伝達、筋肉の収縮、心臓のリズム維持など、生きるうえで欠かせない働きを幅広く担っています。

ところが、このミネラルが足りているかどうかを正確に知るのは簡単ではありません。体内のマグネシウムの約99%は骨や筋肉、軟部組織の中に存在していて、血液中にはわずか1%ほどしか含まれていないからです。

つまり、一般的な血液検査で正常と出ても、細胞レベルでは深刻な欠乏が進んでいる可能性があります。

日本でも、土壌のミネラル含有量の低下や加工食品中心の食生活によって、マグネシウムの摂取量は年々減少傾向にあると指摘されています。

厚生労働省の国民健康・栄養調査でも、マグネシウムの平均摂取量は推奨量を下回る状態が長く続いています。慢性的なストレスや服薬の影響も加わり、知らないうちにマグネシウムが不足している人は少なくありません。

そうした隠れ欠乏が、重い病気にかかったときに一気に表面化し、回復を大きく左右するという研究結果が相次いで報告されています。

記事の要点

  • ICU(集中治療室)に入院した患者の最大65%にマグネシウム欠乏が認められ、一般入院患者の約6%と比べて著しく高い割合である。欠乏は敗血症、人工呼吸器使用の長期化、死亡率の上昇と強く関連している。
  • 体内のマグネシウムの99%は細胞内や骨、軟部組織に存在するため、通常の血液検査(血清マグネシウム値)では細胞レベルの欠乏を検出できず、治療の遅れにつながっている。
  • 小児集中治療でもマグネシウム補充が心臓の不整脈、重症喘息の気管支けいれん、けいれん発作の改善に有効であることが示され、敗血症の炎症反応を和らげる効果も確認されている。