夏の畑で、まっすぐ伸びた茎にやわらかな葉を茂らせるモロヘイヤ。刻むと独特の粘りが出て、おひたしやスープにすると、とろりとした口当たりになります。暑さで食が細るころに、するりと喉を通ってくれる夏の葉物です。
その名前は、アラビア語で「王家のもの」を意味する言葉に由来すると伝えられています。
重い病に伏せた王が、どんな薬でも治らなかったのに、この葉を煮たスープを口にしたところ快復したという逸話が残り、「王様の野菜」と呼ばれるようになった、と語られています。
真偽はさておき、そう語り継がれてきただけの栄養が、この小さな葉には確かに詰まっています。
日本の食卓に広まったのは1980年代以降と比較的新しく、旬は7月から9月。梅雨明けを間近に控えたいま、店先に束で並び始める季節を迎えています。
◼️記事の要点
モロヘイヤは生100gあたりβ-カロテン10,000μg、ビタミンK640μg、カルシウム260mgを含み、緑黄色野菜でも栄養密度が高い葉物です。
刻んだときに出るネバネバは水に溶ける粘性多糖で、腸内の菌のエサとなって短鎖脂肪酸を増やすプレバイオティクスの働きが報告されています。
食べるのは葉と若い茎の部分で、花のあとにできる種子とさやには強心配糖体が含まれ、家畜の中毒死も報告されているため、この部分は食用にしません。