食事の脂質について語られるとき、話題はたいてい量に集まります。何グラムまでにするか、何割に抑えるか。けれども体の側から見ると、入ってきた脂肪が「どんな種類か」によって、その後の振る舞いはずいぶん変わるようです。
私たちの体は、食事のあと、燃やす燃料を切り替えています。糖質が多い食事のあとは糖を中心に、脂質が多い食事のあとは脂肪を中心に。この切り替えがすみやかに起きることを、代謝の柔軟性(メタボリック・フレキシビリティ)と呼びます。ミトコンドリアが受け取った燃料に応じて働き方を変える能力、と言い換えてもよいものです。
2026年8月、栄養学の専門誌 The Journal of Nutrition に、この切り替えの速さを脂肪酸の種類ごとに比べた試験が報告されました。
城西大学薬学部の栄養生理学研究室によるもので、カロリーも脂質の割合もそろえたうえで、含まれる脂肪酸だけを変えた食事を用意しています。この報告から、脂肪酸ごとの反応の違いを見ていきます。
記事の要点
カロリーと脂質の割合をそろえた食事でも、含まれる脂肪酸の種類によって、食後に燃料を切り替える速さが違うと報告されました。
オレイン酸の食事では、呼吸商がピークに達するまでの時間がパルミチン酸の食事の半分以下で、α-リノレン酸とともに、食事に見合った燃焼状態へ早く届きました。
脂肪の燃焼過程で生じるアセチルカルニチンの指標も、オレイン酸とα-リノレン酸の食事のあとで高く、切り替えの速さと足並みがそろっていました。