呼吸は、意識しないうちに一日およそ2万回くり返されています。あまりに当たり前で、調子のよしあしを気にとめる機会はそう多くありません。それでも階段を上がったときの息の上がり方や、季節の変わり目の息苦しさで、ふと肺の力を意識する瞬間があります。
肺の機能を守る方法として、まず思い浮かぶのは運動や禁煙でしょう。呼吸のリハビリテーションも広く行われています。そこに、もう一つの入り口があるかもしれません。
2026年8月、欧州呼吸器学会の専門誌 ERJ Open Research に、食事の質と肺機能の関係を大規模に調べた報告が掲載されました。
オランダ・フローニンゲン大学医療センターの研究チームによるもので、同国北部で行われている大規模コホート「Lifelines」の参加者、のべ8万人以上のデータを使っています。
しかも、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)がある人とない人とで、その関係の強さが違うかどうかまで踏み込みました。今回はこの報告を読み解きます。
記事の要点
食事全体の質を点数化したスコアが高い人ほど、肺活量や1秒間に吐き出せる息の量が大きく、約10年の追跡でその低下もゆるやかだったと報告されました。
この関係は喘息やCOPDのある人でとくに強く、COPDのある人では、スコアが1点高いごとのFEV1の差が、持病のない人より8.31mL大きくなっていました。
スコアの中身は、野菜・果物・全粒穀物・豆類やナッツ・魚・無糖の乳製品といった、日々の食卓で選べるものの積み重ねです。