夜勤明けの朝、街が動き出す音を聞きながら、遮光カーテンをきっちり閉めて布団に入る。看護、介護、製造、物流、警備。交替勤務で働く方にとっては、見慣れた光景だと思います。
眠りたい時間に外は明るく、働く時間に外は暗い。この逆転が長く続くと、体のなかでは何が起きているのでしょうか。
これまでこの問題は、主に「睡眠の質」と「日中の眠気」として語られてきました。ところが2026年8月にデンマークの健康科学メディアが紹介したカナダの試験は、もう少し奥のほうを見ています。テーマは、細胞の設計図であるDNAです。
私たちの細胞は毎日、酸素を使ってエネルギーをつくる過程で生まれる活性酸素にさらされ、DNAに小さな傷を負っています。体にはその傷を直す精巧な修復システムが備わっていますが、その修復の力が、眠りのホルモンと呼ばれるメラトニンによって変わるのではないか。
そう考えた研究チームが、実際に交替勤務者へメラトニンを飲んでもらい、修復の指標を測りました。結果は、飲むタイミングによってはっきり分かれています。
記事の要点
カナダの研究チームが、半年以上にわたり交替で夜勤を続けている40人を対象に、メラトニン3mgとプラセボを4週間比べる無作為化試験を行いました。
日中の睡眠前にメラトニンを飲んだ人では、DNAの酸化ダメージ修復の指標とされる尿中8-OH-dGが、プラセボ群より80%高い値になったと報告されています。
夕方の就寝前に飲んだ場合には有意な差が見られず、メラトニンの働きは量だけでなく飲む時間帯にも関わることが示されました。