2026年5月、スペインの研究グループからJournal of Nutritional Biochemistryに、亜鉛の働きを分子レベルで描き直す研究が発表されました。
同位体で濃縮した亜鉛(⁶⁸Zn)と複数のオミクス解析を組み合わせ、ヒト上皮細胞が炎症ストレスを受けたとき、亜鉛がどのように細胞を支え、どこから過剰になりうるのかを丁寧に追跡しています。
世界人口の約17%が亜鉛不足の影響を受け、高齢者の65〜80歳では最大75%が摂取不足にあるとされる現在、上皮の健康と亜鉛の関係を理解することは、加齢に伴う体の変化を考える土台になります。
記事の要点
- 亜鉛濃度には機能的なウィンドウが存在し、in vitroで約200 µMという中庸の濃度が、メタロチオネインによる金属の緩衝機構をもっとも整った形で維持することが示されました。
- 炎症性サイトカインIL-1αによって細胞内の総亜鉛量が減少し、メタロチオネインからの亜鉛放出が進むこと、亜鉛の前処理がこの変化を部分的に抑える可能性が報告されています。
- 亜鉛は単なる構造的補因子ではなく、メタロチオネイン・遺伝子発現・脂質リモデリングを横断的に整える調節因子として働く一方、過剰量では銅恒常性や脂質代謝が撹乱されうる両面性が示唆されました。