最新|亜鉛不足が認知症の予後を左右する:感染症リスクと死亡率への影響

最新|亜鉛不足が認知症の予後を左右する:感染症リスクと死亡率への影響

亜鉛は、免疫機能や抗酸化作用、神経伝達など、体のあらゆる働きに関わる必須ミネラルです。

不足すると味覚障害や免疫力の低下が起こることはよく知られていますが、近年の研究では、亜鉛不足がもっと深刻な健康リスクにつながる可能性が指摘されています。

とくに高齢者では亜鉛不足の割合が高く、加齢にともなう食事量の減少や吸収能力の低下がその背景にあります。

認知症を抱える方はさらにリスクが高く、食事の偏りや摂食困難によって栄養状態が悪化しやすい状況にあります。

日本は世界でもトップクラスの高齢化社会であり、認知症の患者数は増加の一途をたどっています。厚生労働省の推計では、2025年には約700万人が認知症になるとされています。

こうした状況のなかで、栄養面からのケア、とくにミネラルの充足状況に目を向けることの重要性が高まっています。

今回紹介する研究は、亜鉛不足が認知症患者の予後にどのような影響を与えるかを、大規模なデータをもとに検証したものです。

論文タイトル

Association Between Zinc Deficiency and Adverse Outcomes in Patients with Dementia: A Matched Cohort Study
(認知症患者における亜鉛欠乏と有害転帰の関連:マッチドコホート研究)

記事の要点

  • 亜鉛不足の認知症患者は、1年以内の死亡リスクが約1.5倍高かった。
  • 敗血症やICU入室、尿路感染症などの感染関連合併症のリスクも有意に上昇した。
  • 重度の亜鉛欠乏(血清亜鉛50μg/dL未満)では、死亡リスクが1.85倍、敗血症リスクが約3倍に達した。