加齢に伴う免疫機能の低下、いわゆる免疫老化は、感染症のリスクを高めるだけでなく、慢性的な全身の炎症を引き起こし、高齢者の健康を脅かす大きな要因となります。
こうした課題に対し、母乳などに含まれるタンパク質の一種であるラクトフェリンが、安全かつ効果的な免疫を調整する食品成分として注目を集めています。
本記事では、健康な高齢者を対象に実施されたランダム化比較試験の結果に基づき、ラクトフェリンがどのように免疫細胞のプロファイルを整え、ウイルスに対する防御力を高めるのかを詳しく紹介します。
【論文タイトル】
経口ラクトフェリンは全身性炎症を軽減し、抗ウイルス反応を強化し、免疫細胞プロファイルを調整する:健康な高齢者を対象としたランダム化比較試験
記事の要点
- 全身性炎症の抑制: 1日600mgの高用量ラクトフェリンを4週間摂取することで、血中の主要な炎症マーカーであるIL-6およびCRPの濃度が有意に低下しました。
- 抗ウイルス応答の強化: ライノウイルスなどのウイルス刺激に対して、感染防御に不可欠な抗ウイルス因子(IFN-α2)の放出能力が高まり、ウイルスへの抵抗力が向上することが示されました。
- 免疫細胞プロファイルの最適化: ラクトフェリンの摂取により、加齢に伴いバランスが崩れやすいT細胞やNK細胞などの免疫細胞の割合が調整され、免疫系がより健康な状態へと変化しました。
- 用量による作用の違い: 200mgの低用量では主に炎症性細胞の減少が見られたのに対し、600mgの高用量では適応免疫を担う細胞の増加と強力な抗ウイルス反応の両面が確認されました。
- 安全性と有用性の確認: 健康な高齢者において副作用なく継続が可能であり、免疫老化を抑制するための安全な機能性成分としての有効性が示されました。