体のだるさ、疲れやすさ、なんとなく続く不調、そういった症状の背景に、慢性的な炎症が関わっていることがあります。
炎症というと傷口が赤く腫れるような急性のものをイメージしがちですが、体の中で静かに、長期間にわたって続く低グレードの炎症は、糖尿病、心臓病、自己免疫疾患など、多くの病気の引き金になることがわかっています。
日本でもビタミンD不足は広く知られた健康課題です。日照時間の少ない地域や、屋内での生活が中心になりがちな現代人、さらに高齢者では特に不足しやすく、骨粗しょう症との関連が以前から指摘されてきました。
ところが近年の研究では、ビタミンDの役割は骨の健康にとどまらないことが次々と明らかになっています。
南オーストラリア大学の研究チームが発表した大規模な遺伝子研究は、ビタミンD欠乏と慢性炎症の間に直接的な因果関係があることを世界で初めて遺伝学的手法で実証しました。
約29万5千人ものデータを用いたこの研究は、ビタミンDへの見方を大きく変える可能性を持つ成果として、国際的に注目を集めています。
記事の要点
- ビタミンD欠乏が慢性炎症の指標であるCRP値を上昇させることが、約29万5千人の遺伝データを使ったメンデルランダム化解析によって世界初の遺伝学的証拠として示された。
- 炎症の上昇はビタミンDが欠乏している人にのみ見られ、十分な量がある人ではCRP値の変化はほぼなかった。欠乏を改善することで炎症が回復する可能性が示唆された。
- ビタミンD欠乏の改善は、糖尿病・心臓病・自己免疫疾患など炎症を伴う慢性疾患のリスク低減につながる可能性があり、食事・日光・サプリメントによる摂取量の見直しが推奨されている。