ビタミンKと聞いて思い浮かぶのは、出血を止める働きや、骨を丈夫に保つ役割あたりではないでしょうか。健康診断で名前を意識することも少なく、どちらかといえば縁の下で働くタイプの栄養素という印象かもしれません。
ところが近年、このビタミンKを血糖の代謝という別の角度から調べる研究が増えてきました。
2026年1月、栄養学の専門誌Nutrientsに、前糖尿病や2型糖尿病の人を対象にした臨床試験を集めて分析した論文が発表されています。ビタミンKを補うことが、空腹時の血糖値やHbA1cといった指標とどう関わるのかを、まとめて検証したものです。
血糖の話になると、すぐに「では何を食べれば下がるのか」と気になるところですが、今回の研究が見せてくれるのは、もう少し落ち着いた風景です。動いた指標と、動かなかった指標を分けて眺めると、ビタミンKと血糖のつながりがどのあたりにありそうか、その輪郭が見えてきます。
今回は、骨や血管だけではないビタミンKのもう一つの顔を、この新しい研究を手がかりに見ていきます。
◼️記事の要点
Nutrients誌の8件のRCTメタ解析では、ビタミンKの補充で空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)が下がる方向のシグナルが報告されました。
一方で、空腹時のインスリン値とβ細胞機能の指標(HOMA-β)には、はっきりした差が見られませんでした。動いた指標と動かない指標が分かれた点が特徴です。
対象は前糖尿病・2型糖尿病の人で、試験数は8件と限られます。ビタミンKを骨や血管に加えて、血糖の代謝とも関わりうる栄養素として食事全体の中で捉える研究です。