残暑が続くと、火を使った料理を作る気力も、しっかり食べる食欲も落ちてきます。そうめんや冷たい麺で済ませる日が増え、気づけばタンパク質もミネラルも不足しがち。夏の疲れが抜けにくいのは、暑さそのものだけでなく、こうした食事の偏りも関わっています。
そんなときに思い出したいのが、宮崎県に古くから伝わる郷土料理「冷や汁」です。焼いてほぐした魚と味噌、すりごまを混ぜて冷たい出汁でのばし、きゅうりや薬味を散らして、温かいご飯や麦飯にかけていただく一膳です。
暑さで食が細るこの土地で、農作業の合間にもかき込めるようにと工夫されてきた、いわば夏を乗り切るための知恵の料理です。
冷たくてさらさらと喉を通るのに、一杯の中に魚のタンパク質、ごまのミネラル、きゅうりや薬味の水分とカリウムが自然にまとまっている。今回は、この冷や汁がなぜ夏の体に合うのか、食材ごとの栄養から見ていきます。
記事の要点
冷や汁は、焼き魚(あじなど)・味噌・すりごま・きゅうり・豆腐・薬味という、栄養の異なる食材を一杯に組み合わせた料理で、タンパク質・カルシウム・カリウムをまとめて補えます。
冷たく喉を通りやすいため、暑さで食欲が落ちて不足しがちなタンパク質を、無理なく取り入れられるのが夏向きの利点です。
魚をいわしやさばの缶詰に替える、豆腐やみょうがを足すなど、手に入る食材でアレンジしやすく、作り置きの出汁を使えば火を使わずに仕上げられます。