健康診断や人間ドックの結果票に、ビタミンDの数値が載っていたことはあるでしょうか。検査値の横に並ぶ基準範囲を見て、その中に収まっていれば、ひとまず足りているのだろうと受け取るのが普通です。
ところが、その線をどこに引くのかという議論が、いま英国で起きています。2026年、英国の内分泌・栄養の専門家グループが、「ビタミンD欠乏」と判定する血中濃度の基準を、現行の2倍に引き上げるべきだという提言を発表しました。
線を動かすだけで、これまで「足りている」とされてきた多くの人が、支援の対象に入ってくることになります。
日本で暮らす私たちにとって、この話は遠い国の制度変更ではありません。というのも、日本の判定指針は、英国が「これから引き上げよう」としている水準を、すでに欠乏の線として採用しているからです。
つまり英国の提言は、日本の基準の位置づけを確認する材料にもなります。自分の検査値をどう読めばいいのか、あらためて確認します。
記事の要点
英国の専門家グループが、ビタミンD欠乏の基準を現行の25 nmol/L未満から50 nmol/L未満へ引き上げるよう提言し、2026年6月にFrontiers in Endocrinology誌へ発表しました。
50 nmol/Lという線は、米国医学アカデミー、WHO、欧州食品安全機関、米国内分泌学会などが既に採用している水準で、英国だけが低い位置に線を残していたことになります。
日本の判定指針では20 ng/mL未満が欠乏とされ、これは50 nmol/Lに相当します。英国が引き上げようとしている水準と同じ場所に、日本の線はすでに引かれています。