最新|長期COVIDとミトコンドリア機能不全:栄養素から見る3つの視点

最新|長期COVIDとミトコンドリア機能不全:栄養素から見る3つの視点

新型コロナウイルス感染症の急性期を乗り越えた後も、強い疲労感、息切れ、思考の霧(ブレインフォグ)、運動後の極度の消耗といった症状が長く続く方が一定数いらっしゃいます。

長期COVID(Post-COVID Syndrome、PCS)と呼ばれるこの状態については、近年さまざまな分子レベルの研究が進められてきました。

2026年5月21日、学術誌「Frontiers in Immunology」に公開された論文「Multi-omics analysis of long COVID reveals persistent mitochondrial dysfunction, suppressed oxidative phosphorylation, and immune dysregulation」では、転写体・プロテオーム・メタボロミクスという複数のオミクス解析を統合し、長期COVID患者ではミトコンドリア機能不全、酸化的リン酸化の抑制、免疫調節障害が持続的に存在することが示されました。

ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場として知られていますが、その働きを支えるのは多くのビタミン、ミネラル、補酵素、アミノ酸といった栄養素です。

今回は、この論文の知見を出発点にしながら、ミトコンドリア機能に必須の栄養素、ミトコンドリアを活性化する栄養素、不足するとミトコンドリア機能に影響を与える栄養素という3つの視点から整理していきます。

記事の要点

  • 長期COVIDのマルチオミクス解析で、ミトコンドリア機能不全とOXPHOS抑制、免疫調節障害が持続することが明らかになり、感染後の疲労感や認知症状の分子的背景として注目されています。
  • ミトコンドリアでのATP生成と代謝には、ビタミンB群、マグネシウム、鉄、銅、硫黄、CoQ10など多くの栄養素が補酵素や電子キャリアとして必須の役割を担っています。
  • CoQ10、PQQ、α-リポ酸、L-カルニチン、NAD+前駆体などは活性化に、ビタミンD、亜鉛、セレン、マンガン、オメガ3脂肪酸などは不足するとミトコンドリア機能に影響することが知られています。