最新|リンゴに遺伝子を静かに調整する分子 : miR-482a-3pが腸管細胞の増殖を抑える可能性

最新|リンゴに遺伝子を静かに調整する分子 : miR-482a-3pが腸管細胞の増殖を抑える可能性

リンゴといえば、食物繊維やポリフェノール、ビタミン、香りのよい果物というイメージが強いかもしれません。ところが、今回PLOS ONEに発表された研究では、リンゴに含まれる小さなRNA分子、つまりマイクロRNAに注目が集まっています。

マイクロRNAは、細胞の中で特定の遺伝子の働きを弱めたり、発現を調整したりする小さな分子です。

人間の体内にも存在しますが、近年は植物由来のマイクロRNAが、食事を通じて別の生物の細胞に影響する可能性が研究されています。このような現象はトランスキングダム、つまり種をまたいだ情報伝達として知られています。

今回の研究で注目されたのは、リンゴ由来のmiR-482a-3pとmiR-858という2種類のマイクロRNAです。

研究チームは、これらがヒトの腸管由来細胞に取り込まれ、細胞増殖やがん関連遺伝子の発現にどのような変化を起こすかを調べました。

身近な果物の中に、栄養素とは少し違う遺伝子発現に関わる情報分子があるかもしれないという点で、食と健康の見方を一段深めるニュースです。

記事の要点

  • リンゴ、とくにゴールデンデリシャス種の果実とジュースで、miR-482a-3pとmiR-858の発現が確認されました。
  • ヒト大腸がん由来細胞株HT-29とHCT116に、リンゴ由来マイクロRNAを模した分子を入れると、細胞増殖が有意に低下しました。
  • miR-482a-3pは、細胞増殖に関わるc-MYB遺伝子を標的にし、CYCLIN D1、COX2、c-MYCなどの下流遺伝子にも影響することが示されました。