心臓のまわりにも、脂肪の層があります。お腹や腕につく脂肪はよく知られていますが、心臓の表面にぴったりと張りつくように存在する脂肪のことは、これまであまり語られてきませんでした。
この脂肪は「心外膜脂肪」と呼ばれ、ふだんは心臓にエネルギーを届ける役割を担っています。
ところが年齢を重ねたり、体の中で炎症がくすぶったりすると、この脂肪そのものが炎症の発信源へと変わっていくことが分かってきました。
2026年5月、ノルウェーのオスロ大学病院などの研究グループが、この心外膜脂肪の炎症と、ある微量ミネラルとの関係を報告しました。取り上げられたのはセレンです。
一日にわずか数十マイクログラムあれば足りるとされる、ふだんあまり意識されないミネラルが、心臓を包む脂肪の炎症と関わっている可能性が示されました。
冠動脈の病気を抱える高齢の患者さんを対象にした研究から見えてきたものを、順を追って読み解いていきます。
記事の要点
- 心臓の表面に張りつく「心外膜脂肪」は、加齢や慢性的な炎症によって性質が変わり、隣り合う心臓や冠動脈に直接影響しうる組織として注目されています。
- 今回のノルウェーの研究は、冠動脈疾患を持つ高齢者の血中セレン濃度と、心外膜脂肪や血液中の炎症マーカーとの関連を調べたものです。
- セレンを材料とするセレンタンパク質と抗酸化のしくみが、この関連を読み解く鍵になります。日々の食事でのセレンの位置づけまで合わせて見ていきます。