日照時間の長い地域よりも、太陽の光が弱い北の地域で患者が多くなる多発性硬化症(MS)には、そんな地理的な傾向があることが古くから知られています。
北欧諸国をはじめ、日差しの少ない国や集団で発症率が高いという報告が積み重なってきました。その背景として長く注目されてきたのが、ビタミンDです。
夏の強い日差しを浴びることが、私たちにとって主要なビタミンDの供給源になります。日照が少なければ、皮膚でつくられるビタミンDも減ります。だとすれば、ビタミンDの不足とMSのあいだには、何らかのつながりがあるのではないか。
長年問われてきたこの問いに、2026年に発表された大規模なメタ解析が、これまでで最も整理された答えを示しました。
血中のビタミンD濃度が高い人ほど、MSの発症リスクは低い。そしてすでに発症した患者さんでも、ある量を超えるビタミンDの摂取が、再発の頻度を有意に下げていた。
今回は、この研究が明らかにした、どのくらいの量が関わるのかという数字を中心に、ビタミンDとMSの関係を整理していきます。
記事の要点
- 血中ビタミンD濃度とMSの発症リスク、そして患者さんの予後との関わりが、2026年の大規模メタ解析でどこまで整理されたのかを概観します。
- 再発予防に関わったのは特定の摂取量の範囲だけで、公的な推奨量との間にどれほどの開きがあったのか、その数字の意味を確認します。
- 患者さんの血中濃度をどの範囲に保つことが予後の改善につながると報告されたのか、目安となる数値を見ていきます。