葉酸(ビタミンB9)は、細胞の分裂やDNAの合成、神経伝達物質の産生に欠かせないビタミンです。妊娠中の胎児の発育に重要なことはよく知られていますが、脳の機能や気分の調節にも深く関わっています。
セロトニンやドーパミンといった、いわゆる幸せホルモンの合成にも葉酸が必要で、不足すると精神面に影響が出やすいことは以前から指摘されてきました。
日本でもうつ病の患者数は増加傾向にあり、とりわけ女性は男性に比べて発症率が高いことが知られています。栄養面からメンタルヘルスを考えるアプローチへの関心も高まるなか、葉酸を摂っていれば安心と思いがちですが、最新の研究はもう少し複雑な実態を明らかにしています。
アメリカの女性約9,400人を対象に赤血球中の葉酸濃度とうつ病リスクを分析した研究では、葉酸が少なすぎても多すぎてもうつ病のリスクが上がるというU字型の関係が発見されました。ちょうどいい量に適正ゾーンがあるということです。
記事の要点
- 約9,400人のアメリカ人女性を対象にした横断研究で、赤血球葉酸(RBC葉酸)濃度とうつ病リスクの間にU字型の関係が初めて報告された。最も低い群では39.6%、最も高い群では42.5%、それぞれうつ病のオッズが上昇していた。
- リスクが最も低くなる転換点は赤血球葉酸濃度985 nmol/Lで、この値を下回ると100 nmol/L増えるごとにリスクが6%低下し、上回ると100 nmol/L増えるごとにリスクが3%上昇するという用量反応関係が示された。
- 喫煙、肥満(BMI 30以上)、経済的ストレス、飲酒習慣といった要因が、葉酸の不均衡とうつ病リスクの関連をさらに増幅させていた。