糖尿病という言葉を聞くと、まず血糖値の数字を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど糖尿病で本当に問われるのは、高い血糖が長く続くことで血管が静かに傷んでいくことだと言われています。
心臓、腎臓、目、足先。全身に張りめぐらされた血管がしなやかさを失っていく。その入り口にあるのが、血管の内側を覆う「内皮」と呼ばれる薄い細胞の層の働きの低下です。
近年、日光を浴びてつくられるビタミンとして知られるビタミンDが、血糖だけでなく血管そのものに関わる可能性に関心が集まっています。
2026年5月、ブラジルの研究チームが学術誌『Pharmaceuticals』に、2型糖尿病のモデルラットにビタミンD3を与えると、傷んだ血管の反応性がどう変わるのかを調べた実験研究を発表しました。第一著者はアマンダ・スエレン・ダ・シルバ・サントス・オリヴェイラ氏です。
そこで見えてきたのは、ビタミンD3が血管のしなやかさを取り戻す方向に働く一方で、高血糖が続く環境ではその効果に時間的な限界もあるという、二つの顔でした。
今回は、この研究が血管とビタミンDについて何を示したのかを見ていきます。
◼️記事の要点
ビタミンD3を与えた2型糖尿病モデルラットでは、4週間の時点で、低下していた血管の内皮依存性の弛緩反応が回復したと報告されています。
8週間の時点では、空腹時血糖が高いままでも糖化ヘモグロビン(HbA1c)が正常域まで下がり、血管が収縮する力の衰えが抑えられたとされています。
一方で高血糖が続く環境では血管を緩める効果が薄れる場面もあり、効果には時間に応じた幅があることも同時に示されました。