膀胱炎になった、扁桃炎で高熱が出た、皮膚に化膿した傷ができた。そんなときに処方される抗菌薬は、細菌感染症の治療に欠かせない薬です。
日本でも年間を通じて多くの抗菌薬が処方され、感染症医療に大きな役割を果たしてきました。
一方で、抗菌薬が腸内細菌に与える影響については、これまで治療後しばらくすると元に戻ると考えられてきました。
実際、健康な成人を対象とした小規模な研究では、抗菌薬を服用した後、数週間から数か月で腸内細菌が部分的に回復することが報告されています。
しかし、本当に短期間で元に戻るのでしょうか。日本では今も、念のためという理由で抗菌薬を処方するケースや、患者側から抗菌薬を求める場面が少なくありません。
そんな中、スウェーデンで実施された大規模研究が、抗菌薬の影響は私たちが思っているよりもはるかに長く続くことを明らかにしました。
1万4979人という大規模なデータから、最大8年前の抗菌薬服用が今の腸内細菌叢に影響を残していることが示されたのです。
記事の要点
- 抗菌薬の使用から1年以内、1〜4年前、4〜8年前のいずれの期間においても、腸内細菌の多様性が低下することが確認された。
- クリンダマイシン、フルオロキノロン系、フルクロキサシリンの3つが、腸内細菌の種構成に最も大きな影響を与えていた。
- 過去8年間に1回だけの抗菌薬服用でも、4〜8年後の腸内細菌叢の構成に違いが見られた。