私たちの体の中には、免疫システムの司令塔ともいえる小さな臓器があります。それが「胸腺」です。
胸腺はT細胞と呼ばれる免疫細胞を作り出す重要な役割を担っていますが、加齢とともに縮小し、機能が低下していくことが知られています。
これまで医学の世界では、胸腺は子どもの時期を過ぎるとほぼ役割を終えると考えられてきました。
しかし近年、がんや心臓病、生活習慣病の増加が世界的に問題となるなか、免疫の老化と病気の関係に注目が集まっています。
日本でも高齢化が進み、がんと心疾患は死因の上位を占め続けています。
そうした中、Natureに発表された最新の大規模研究が、成人の胸腺の健康状態と寿命やがんリスク、心血管疾患との間に明確な関連があることを示しました。
これまで見過ごされてきたこの臓器が、健康長寿の鍵を握っているかもしれません。
記事の要点
- 胸腺の健康状態が良好な人は、12年間の全死亡リスクがほぼ半減し、がんによる死亡リスクも大幅に低かった。
- AIによるCT画像解析で約27,000人の胸腺の状態を数値化し、免疫の老化には大きな個人差があることが判明した。
- 喫煙や慢性炎症は胸腺の健康を損ない、生活習慣や代謝の改善が免疫機能の維持につながる可能性がある。