心臓がドクドクと不規則に脈を打つ心房細動は、高齢化が進む日本でも年々増え続けている不整脈のひとつです。脳梗塞や心不全のリスクを高めることから、早期発見と予防がとても大切だとされています。
これまで高血圧や糖尿病、肥満、飲酒といった生活習慣が主なリスク要因として知られてきましたが、最近の研究では栄養素の不足、とりわけ亜鉛の欠乏が心臓のリズムに影響を与える可能性が注目されるようになってきました。
日本では高齢者を中心に亜鉛不足の割合が高いことが指摘されており、2024年の国民健康・栄養調査でも亜鉛の摂取量が推奨量を下回る人が少なくないことが報告されています。
亜鉛は免疫や味覚、皮膚の健康など幅広い役割を担うミネラルですが、心臓との関わりについてはあまり知られていません。
今回紹介するのは、台湾の研究チームが12万人以上の患者データを解析し、血清亜鉛値の低さと心房細動の新規発症リスクとの関連を大規模に調べた研究です。
記事の要点
- 血清亜鉛値が70 μg/dL未満の人は、正常値の人に比べて心房細動の発症リスクが最大62%高かった。
- 亜鉛不足が重度(50 μg/dL未満)になるほどリスクは上昇し、約2倍の心房細動リスクが確認された(用量反応関係)
- この関連は性別、年齢、高血圧・糖尿病の有無などに関わらず一貫しており、コロナ前後の時期でも再現された。