栄養成分表示で「ビタミンE」という文字を見たとき、それが何を指しているのかを考えることは、あまりないかもしれません。抗酸化のビタミン、油に溶けるビタミン。これまで、日々の食卓ではそのくらいの理解で大きく困ることはありませんでした。
ところが、ビタミンEという名前は1つの物質を指す言葉ではありません。構造の違う8つの化合物をまとめて呼んだ総称です。4種類のトコフェロールと、4種類のトコトリエノール。日本の食事摂取基準が数値を示しているのは、このうちα-トコフェロールという1種類だけです。
その数えられていない側に、いま研究の目が向いています。2026年、アラブ首長国連邦・マレーシア・エジプトの研究者らがまとめた総説が、脳の細い血管の健康という文脈でトコトリエノールを取り上げました。
米ぬかや米油という、日本の台所にもなじみのある供給源をもつ成分です。ビタミンEの中身を、あらためて見ていきます。
記事の要点
ビタミンEは4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの総称で、日本人の食事摂取基準はこのうちα-トコフェロールの値だけを示しています。
トコトリエノールは、パーム油、アナトー、米ぬか油という限られた油脂に偏って含まれる成分で、一般的な植物油に広く入っているトコフェロールとは分布が違います。
2026年のLife誌の総説は、睡眠・脳の老廃物の排出・血管の状態を一続きの流れとして捉え、その流れに関わる成分としてトコトリエノールを有望な候補に挙げています。