手足のしびれ、チクチクとした痛み、力の入りにくさ、末梢神経障害は、脳と脊髄以外の神経が傷つくことで起こり、世界中で何百万人もの人が経験している身近な不調です。
糖尿病が主な原因として知られていますが、加齢に伴う変化や、栄養の偏りが関わることもあります。厄介なのは、一度傷ついた神経を回復させる承認薬が、今のところ存在しないことです。
そんな状況のなか、ドイツとイギリスの研究チームが、ビタミンB群とビタミンD3に、傷ついた神経を修復する手がかりを見出しました。
記事の要点
P&Gヘルス・ドイツ社のイノベーションセンターと、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)薬学部・神経工学センターの共同研究チームが、実験室で神経細胞に損傷を与えたうえで、ビタミンB1・B6・B12、ビタミンD3、α-リポ酸がそれぞれどう働くかを調べました。結果は、査読付き学術誌【Nutrients】に掲載されています。
もっとも際立った効果が見られたのは、ビタミンB1・B6・B12を組み合わせた場合です。三つのビタミンが互いに協力し合うことで、神経細胞から伸びる細い突起(神経突起)の成長が、単独投与よりも大きく促されました。ビタミンD3も独立して神経の再生を後押しし、興味深いことに、ごく低い濃度でもっとも効果が高いという結果が示されています。
一方、糖尿病性神経障害の治療でよく話題になるα-リポ酸は、期待されたほどの効果は見られませんでした。研究チームは、これらの栄養素がそれぞれ異なる生物学的な経路を通して神経を支えている可能性があると述べています。