〜不足すると炎症が増え、多すぎると逆効果になる可能性も。最前線の研究が明らかにしたこと〜
ビタミンDといえば、骨を丈夫にするビタミンとしてよく知られています。最近では免疫力との関係も注目され、日光を浴びることやサプリメントでの補充を意識している方も多いのではないでしょうか。
一方、日本でも膵臓がんは増加傾向にあり、見つかったときにはすでに進行していることが多い、非常に予後の厳しいがんです。
治療法の選択肢が限られているため、予防や新しい治療へのアプローチが世界中の研究者から求められています。
そんな中、ビタミンDが膵臓がんにどう関わるかを包括的にまとめた論文が、2026年3月に栄養学の国際誌「Nutrients」に掲載されました。
ポーランド・シレジア医科大学の消化器外科チームが、1985年から2025年までの世界の研究データを網羅的にレビューしたものです。
結論から言えば、「ビタミンDには膵臓がんの進行を抑える可能性がある」一方で、「だからといって大量補充すれば良いわけではない」という、少し複雑な内容です。
でも、この複雑さこそが今の医学の正直な現状であり、私たちが知っておくべき大切な情報でもあります。
論文タイトル
Impact of Vitamin D Status on Pancreatic Cancer Risk and Outcomes
(ビタミンDの状態が膵臓がんのリスクと転帰に与える影響)
記事の要点
- 実験レベルでは、ビタミンDやその類似物質が膵臓がん細胞の増殖を抑制し、がん周辺の線維化した組織をほぐすことで抗がん剤の効果を高める可能性が複数の研究で示されている。
- 臨床データでは、ビタミンD不足の膵臓がん患者は炎症マーカーが高く、特に早期(ステージI・II)では生存期間が短くなる傾向があると報告されている。一方、がんの発症リスクとの関係は研究によって結果が異なり、一定の結論は出ていない。
- 非常に高いビタミンD血中濃度(100nmol/L以上)は逆に膵臓がんリスクを高める可能性も示唆されており、多ければ多いほど良いとはいえない。最適な濃度範囲は比較的狭く、現時点では予防目的の大量補充は推奨されていない。