ホモシステインという言葉を聞いたことがあるでしょうか。これはメチオニンの代謝過程で生じる含硫アミノ酸で、体内のメチレーション回路で重要な役割を果たしています。
通常は正常な代謝中間体として存在していますが、血中濃度が高くなると心血管疾患や神経障害、代謝異常のリスクが高まることが知られています。
最近の解析では、ホモシステインの上昇が冠動脈疾患リスクを66%、心血管死亡リスクを68%増加させるという報告もあり、長期的な疾病リスクを評価するうえで臨床的に重要なバイオマーカーとして注目されています。
日本では動脈硬化や脳卒中が依然として主要な死因のひとつであり、その背景にはホモシステインの上昇が関係しているケースも少なくありません。
しかし、日本国内ではこのバイオマーカーへの認知度はまだ低く、健康診断の標準項目にも含まれていないのが現状です。
食生活の変化やストレス社会のなかで、ビタミンB群の不足やメチレーション経路の乱れが増えていると考えられる今こそ、ホモシステインに目を向ける意義は大きいといえます。
記事の要点
- ホモシステイン高値の7人の患者に対し、メチレーション経路を支援するサプリメント(活性型ビタミンB群、TMG、L-セリン)を投与した症例報告が発表された。
- 3〜6か月の介入で、全員のホモシステイン値が低下し、平均24.7%(約3.3 µmol/L)の減少が確認された。
- 現時点でホモシステインを直接ターゲットとする標準的な医薬品療法は存在せず、栄養学的アプローチの可能性が示された。