夏の土用に入ると、庭先やベランダにザルを並べ、赤く漬かった梅を天日に干す風景が見られます。梅雨のあいだに塩漬けしておいた梅を、夏のいちばん強い日ざしにあてる。これが、梅仕事の締めくくりにあたる「土用干し」です。
今年の夏の土用は七月二十日ごろに入り、暦のうえでも一年で最も暑い時期を迎えています。三日三晩ほどかけて梅を干し上げるこの作業は、日本の夏の風物詩でもあります。
梅を干すのは、ただの言い伝えではありません。保存性を高め、あの独特の風味を生み出すための理にかなった知恵です。そして干し上がった梅干しには、夏の体に役立つ栄養が詰まっています。
今回は、土用干しの意味と、梅干しの酸味の正体であるクエン酸の働きを、順に見ていきます。
記事の要点
七月二十日ごろから始まる夏の土用に、塩漬けした梅を三日ほど天日干しする「土用干し」で、殺菌と保存性が高まり、皮のやわらかさと独特の風味が生まれます。
梅干しの酸味はクエン酸によるもので、エネルギーを生み出す反応に関わって夏の疲労感の回復を支えるほか、ミネラルを溶けやすい形にして吸収を助ける働きがあります。
一方で梅干しは塩分が高めです。1粒あたりの食塩相当量は決して少なくないため、1日1粒ほどを目安に、料理に少量を活かす食べ方が向いています。