喘息は世界で約2億6千万人が罹患しているとも言われる慢性呼吸器疾患です。日本でも成人の約5〜8%が喘息を持つとされており、子どもから高齢者まで幅広い世代が影響を受けています。
発作が起きると呼吸が苦しくなり日常生活に大きな支障をきたし、重篤な場合には入院や命に関わる事態にもなりえます。
一方、ビタミンDといえば骨の健康に不可欠なビタミンとして知られていますが、近年では免疫系の調節や気道の機能にも関与していることが研究で示されており、喘息との関係が注目を集めています。
ただ、これまでの研究では「ビタミンDが低いと喘息が悪化しやすい」という報告がある一方で「関係は明確ではない」という報告も存在し、一貫した結論が出ていませんでした。
そこにサウジアラビアの研究チームが国内の喘息患者379人を対象に実施した後ろ向き研究の結果が、Journal of Asthma and Allergy 誌に掲載されました。
記事の要点
- サウジアラビアのリヤドにある国立衛兵病院で喘息患者379人を対象とした後ろ向きコホート研究を実施。ビタミンD充足群は欠乏群と比較して、6か月・12か月の期間いずれにおいても喘息の悪化(発作・増悪)頻度が有意に低かった(p=0.030)。
- ビタミンDのレベルは救急外来受診(p<0.001)と経口ステロイド薬の使用(p=0.049)とも有意な関連が見られた。ビタミンDが低い患者ほど緊急受診が多く、強い薬を必要とする可能性が高かったことを示している。
- ただし本研究は後ろ向き研究であり、因果関係の確定や一般化には限界がある。日本と生活習慣・気候が異なるサウジアラビアのデータである点にも注意が必要で、著者らも大規模な多施設研究の必要性を指摘している。