最新|鮮明な視力をつくる2つの成分:ビタミンAと甲状腺ホルモンの最新研究

最新|鮮明な視力をつくる2つの成分:ビタミンAと甲状腺ホルモンの最新研究

私たちが文字を読んだり、人の顔を見分けたりするとき、実は網膜のほんの一部だけが集中して働いています。

網膜の中心にある「中心窩(ちゅうしんか)」と呼ばれる領域は、網膜全体のごくわずかな面積にすぎないのに、感じている視覚のおよそ半分を担っていると言われています。色や輪郭をくっきり捉える細胞が、この小さな一点にぎっしりと詰まっているのです。

では、この精密な視力はどのようにして作られているのでしょうか。

2026年2月、ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが、その問いに迫る論文を米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表しました。手がかりとなっていたのは、ビタミンA由来の物質と甲状腺ホルモンという、栄養や代謝の話としてはおなじみの2つの成分でした。

これまで30年近く信じられてきた目の発達の説明を塗り替える可能性のある報告として、海外で注目を集めています。今回は、この研究を入り口に、目の健康と2つの成分の関わりを見ていきます。

◼️記事の要点

  • ジョンズ・ホプキンス大学が培養した網膜組織(網膜オルガノイド)を用いて、鮮明な視力が形づくられる仕組みを解明し、その中心にビタミンAと甲状腺ホルモンがあったと報告しています。

  • レチノイン酸と甲状腺ホルモンが、色を感じ取る錐体(すいたい)細胞の運命をどのように振り分けているのか、胎児期に起こる細胞の「変換」に大きな手がかりがあります。

  • 網膜が脳と同じ中枢神経の一部であることをふまえると、ビタミンAと甲状腺の働きを日々の食事や暮らしから支える意味が見えてきます。