慢性的な精神的ストレスは、乳がん患者の予後の悪化と、長年にわたって関連づけられてきました。特に、ホルモン受容体を持たず治療の選択肢が限られるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)では、ストレスと再発・転移の関係が繰り返し指摘されてきた領域です。
ストレスを感じているだけで、なぜがんの広がり方まで変わってしまうのか。その中心には、ストレスホルモンによって免疫の働きが少しずつ変えられてしまう仕組みがあります。
広州中医薬大学、広東省中医科学院、広州中医薬大学第二附属病院、成都中医薬大学、香港大学李嘉誠医学部の研究者らは今回、緑茶やいくつかの伝統的な薬用植物に含まれる植物化学物質「エピカテキンガレート(ECG)」が、この仕組みに直接働きかけ、ストレスによる肺への転移を大きく減らしたとする研究結果を、査読付き学術誌「Pharmaceuticals」に発表しました。
記事の要点
慢性的なストレスは骨髄の未成熟な造血細胞を、免疫を抑え込む骨髄由来抑制細胞(MDSC)へと変化させ、乳がんの転移を後押しすることが分かりました。
緑茶に含まれるECGはストレスホルモンの受容体に直接結合し、この変化を止めることで、マウスの肺転移性腫瘍を最大76.9%減らしたと報告されています。
ECGは体重への大きな影響なく良好な耐容性を示し、CD8陽性キラーT細胞が腫瘍の周囲に戻ってくることも確認されました。