最新|ビタミンB1不足が敗血症リスクを高める:最新研究が示す栄養と免疫の深い関係

最新|ビタミンB1不足が敗血症リスクを高める:最新研究が示す栄養と免疫の深い関係

私たちの体を動かすエネルギーは、細胞のなかにあるミトコンドリアという小さな器官でつくられています。

そのエネルギー産生に欠かせない栄養素のひとつが、ビタミンB1(チアミン)です。

ビタミンB1は水溶性のビタミンで、豚肉や玄米、豆類などに多く含まれていますが、体内に蓄えておくことが難しいため、日々の食事から継続的に摂取する必要があります。

日本では高齢化が進むなか、入院患者や高齢者を中心にビタミンB1の不足が指摘されるケースが増えています。

また、食生活の偏りやアルコールの過剰摂取、利尿剤などの薬の使用によっても、ビタミンB1は失われやすくなります。

こうした栄養の偏りが、感染症に対する体の防御力にどう影響するのか。いま、世界的に注目されているのが、ビタミンB1不足と敗血症の関係です。

敗血症は、感染に対する体の免疫反応が暴走してしまい、自分自身の臓器を傷つけてしまう重篤な病態です。

世界保健機関(WHO)によると、敗血症は心臓病やがんに次ぐ主要な死因のひとつであり、毎年世界で約4,950万人が発症し、約1,100万人が命を落としています。

最新の研究データでは、敗血症患者全体の死亡率は約35%、高リスク群では66%にも達するとされています。

このたび、中国の研究チームがFrontiers in Nutrition誌に発表した前向き研究と、ベルギーのゲント大学がCell Reports誌に発表した画期的な動物研究が、ビタミンB1と敗血症の関係に新たな光を当てました。

今回は、これらの最新研究をもとに、ビタミンB1不足がなぜ敗血症のリスクを高めるのか、そしてどのような可能性が見えてきたのかを詳しくお伝えします。

記事の要点

  • 敗血症患者ではビタミンB1の血中濃度が有意に低く、B1不足のグループでは敗血症の発症率が顕著に高いことが判明した。
  • ビタミンB1の濃度が高いほど敗血症のリスクが低下し、臓器障害の重症度スコアや炎症マーカーとの間に有意な負の相関が認められた。
  • 動物実験では、ビタミンB1の投与がミトコンドリアのエネルギー代謝を回復させ、致死的な乳酸の蓄積を劇的に抑制し、生存率を改善することが示された。