落ち着きがない、集中が続かない、忘れ物が多い。注意欠如・多動症(ADHD)のあるお子さんを見守るなかで、そうした特性の背景には何があるのだろうと考えたことのある方は少なくないと思います。
2026年に発表された大規模なメタ解析が、その手がかりの一つとして「体のなかの微量ミネラル」に注目しました。
世界中の46件の研究、1万3千人を超える子ども・思春期の若者のデータを集めた結果、ADHDのある子どもたちは、亜鉛と鉄の血中濃度がそうでない子どもたちより低いという関連が、あらためて裏づけられました。
記事の要点
中国・安徽医科大学などの研究チームが、Web of Science・PubMed・中国国内データベースを横断して2026年3月までに発表された研究を調べ、ADHDと微量ミネラルの関連を検討した46件の症例対照研究をまとめました。対象はADHDのある子ども・思春期の若者5,515人と、ADHDのない対照群8,166人、合わせて1万3千人を超える規模です。
解析の結果、血清中の亜鉛濃度はADHD群で有意に低く、鉄とフェリチン(体内の鉄の貯蔵量を示す指標)も同様に有意に低いという関連が示されました。銅については、全体としてはっきりした差は見られなかったものの、思春期の年代や、一部の地域のデータに限ると低い傾向が見えたとも報告されています。
亜鉛・鉄・銅はいずれも、脳のなかで神経伝達物質のやりとりや、神経どうしの情報伝達を支える働きに関わるミネラルです。今回の結果は、これらの微量ミネラルが子どもの発達や行動と結びついている可能性を、これまでで最も大きな規模のデータであらためて示したものといえます。