COVID-19は呼吸器の感染症として始まりましたが、その後の研究では、免疫、血管、神経、代謝、内分泌など、体のさまざまなシステムに影響する可能性が報告されてきました。今回注目したいのは、甲状腺です。
甲状腺は、首の前側にある小さな臓器ですが、代謝、体温、脈拍、エネルギー産生、体重、気分、月経、成長などに関わるホルモンをつくっています。
そのため、甲状腺の働きが低下しても、過剰になっても、疲れやすさ、動悸、体重変化、寒がり・暑がり、気分の変化など、全身に症状が出ることがあります。
イスラエルの研究チームは、COVID-19パンデミックの前後で、甲状腺疾患の発生パターンがどう変わったかを大規模な医療データで調べました。
対象となったのは、2018年から2022年までに確認された新規の甲状腺疾患4,765例です。掲載誌はFrontiers in Endocrinologyです。
今回の研究で興味深いのは、すべての甲状腺疾患が同じように増えたわけではない点です。
橋本病は明確に増え、バセドウ病は増加傾向を示し、亜急性甲状腺炎はむしろ減っていました。
COVID-19と甲状腺の関係を、単純な増える・減るではなく、免疫と感染環境の変化として見る必要がありそうです。
記事の要点
- 2018〜2022年の成人医療データから新規甲状腺疾患4,765例を解析
- 橋本病はパンデミック期に30%増加し、2018年から2022年で発生率はほぼ倍増
- 亜急性甲状腺炎は54%減少し、公共衛生対策や受診行動の変化も関係した可能性