私たちの眼は、体の中でもとくにエネルギーを使う器官のひとつです。網膜の細胞は光を感じ取るために絶え間なく働き、そのぶん大量のエネルギーを消費しています。
ところが年齢を重ねると、エネルギーを生み出すミトコンドリアの働きは少しずつ衰えていきます。
緑内障や加齢黄斑変性といった眼の病気が加齢とともに増えていく背景には、こうしたエネルギー代謝の変化も関わっていると考えられています。
2026年、Clinical Ophthalmology誌に「B Vitamins and Ocular Health(ビタミンB群と眼の健康)」と題したレビューが発表されました。
B1からB12までの各ビタミンが、眼の病気の予防や保護にどう関わるのかを、これまでの研究を横断して整理した内容です。
なかでも注目されているのが、ビタミンB3がエネルギー代謝を支える物質「NAD+」の材料になり、衰えがちなミトコンドリアの働きを後押しするという報告です。
ビタミンB群というと、疲労回復や肌の調子といったイメージが先に立つかもしれません。
けれど、眼という繊細な器官の健康にも、思った以上に深く関わっているようです。今回は、このレビューをもとに、ビタミンB群と眼の健康のつながりを見ていきます。
◼️記事の要点
ビタミンB群(B1〜B12)は、エネルギー代謝・酸化ストレスの軽減・ホモシステイン値の調節という3つの働きを通じて、眼の健康に関わっていることが報告されています。
ビタミンB3(ナイアシン)はNAD+の材料となり、加齢で衰えるミトコンドリアの働きを支えることから、緑内障の予防につながる可能性が示唆されています。
加齢黄斑変性・白内障・糖尿病網膜症・ドライアイなど主要な眼の病気で、特定のビタミンB群の摂取量が少ないほどリスクが高まる傾向が複数の研究で見られています。