「いびきがうるさい」と指摘されたことはありますか。それがもし睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインだとしたら、単なる眠りの質の問題では済まない話かもしれません。
SASとは睡眠中に呼吸が繰り返し止まる障害で、アメリカだけでも約2,200万人が罹患しているとされますが、日本においても成人男性の3〜7%、女性の2〜5%が罹患していると推計されており、その多くが未診断・未治療のまま日常生活を送っています。
SASは、太った中年男性のいびき問題と長らく軽視されてきた歴史がありますが、近年の研究によって心臓病・脳卒中・2型糖尿病・認知機能低下などとの強い関連が明らかになっています。
本記事は、SASの多様な症状・治療法の最前線・生活習慣による改善策を包括的に解説しています。
記事の要点
- SASの症状は典型的な「大きないびき」だけでなく、慢性的な日中の疲労・朝の頭痛・口の渇き・集中力の低下・不安・うつ・不眠といった多様な形で現れます。特に女性はいびきより不安・うつ・不眠で現れやすく、過去に誤診されやすい傾向がありました。
- 未治療のSASは毎晩の低酸素状態とストレス応答が心臓・血管に過負荷をかけ、高血圧・心筋梗塞・脳卒中リスクを高め、血糖代謝も乱してインスリン抵抗性・2型糖尿病に寄与します。重症度はAHI(無呼吸低呼吸指数:1時間あたりの呼吸障害回数)で評価されます。
- 治療の基本はCPAP(持続陽圧呼吸)療法ですが、2024年にFDAが体重管理薬チルゼパチドをSAS適応として承認したほか、舌下神経刺激装置という埋め込み型デバイスなど選択肢が拡大しています。体重管理・運動・禁酒・横向き睡眠などの生活習慣改善も有効な一次対策です。