睡眠は、ただ体を休ませる時間ではありません。夜のあいだ、脳は記憶を整理し、感情の負荷をならし、翌日に向けて神経の働きを整えています。近年は、総睡眠時間だけでなく、睡眠の中身である睡眠構造にも注目が集まっています。
睡眠構造とは、眠っている時間の中で、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠、レム睡眠がどのように現れるかという流れのことです。
夜の睡眠は一枚岩ではなく、いくつかの段階をくり返しながら進みます。とくに深い睡眠にあたる徐波睡眠と、夢を見ることの多いレム睡眠は、脳の健康と関わる重要な段階として研究されています。
Journal of Clinical Sleep Medicineに掲載された研究では、中高年270人の睡眠を調べ、その13〜17年後の脳MRIと比較しました。
その結果、深い睡眠やレム睡眠の割合が少ない人では、アルツハイマー病で早期から変化しやすい脳領域の一部が小さい傾向が報告されています。
今回はこの研究を入口に、脳の健康を支える睡眠を、日々の暮らしの中でどう捉えるかを整理します。
記事の要点
- 睡眠は時間の長さだけでなく、中身の構造も大切です。深い睡眠とレム睡眠は一晩の中で役割を分けながら現れ、記憶、感情、脳の回復感と関わる段階として研究されています。
- 270人を追跡した研究では、深い睡眠やレム睡眠の割合が少ない人ほど、アルツハイマー病で早期に変化しやすい下頭頂領域などの体積が小さい傾向が報告されました。
- 睡眠を整える基本は、特別な方法よりも生活リズムの安定です。起床時刻、朝の光、夕方以降のカフェイン、寝室環境を整えることが、質のよい睡眠の土台になります。