ストレス、不安、うつ、睡眠の質の低下、そして記憶力の衰え。これらは現代を生きる多くの人が抱える悩みであり、それぞれが互いに影響し合って悪循環を生みやすいことも知られています。
WHOによれば、コロナ禍以降、世界的に不安やうつの有病率は25%も増加しました。日本でも、厚生労働省の調査では精神疾患の患者数は年々増加しており、特にストレスや不安に関連する心の不調を訴える人が増えています。
睡眠の問題も深刻で、日本人の平均睡眠時間はOECD加盟国の中で最も短いとされています。こうした心理的な苦痛に対して、薬物治療以外のアプローチへの関心も高まっています。
そうした中、2026年にJournal of Affective Disorders誌に発表された臨床試験が、興味深い結果を報告しました。
サウジアラビアのウンム・アルクラー大学の研究チームが、心理的苦痛を抱える64名を対象に、オメガ3脂肪酸の3か月間の摂取がストレス、不安、うつ、睡眠の質、日常の記憶力に与える効果を調べたところ、プラセボ群と比べて幅広い改善が確認されたのです。
記事の要点
- 重度の心理的苦痛を抱える64名を対象とした3か月間の二重盲検プラセボ対照試験で、オメガ3(EPA500mg+DHA250mg/日)を摂取したグループは、ストレス、不安、うつ、睡眠の質、日常の記憶力のすべてにおいて統計的に有意な改善を示した。
- 知覚ストレスは約52%減少、不安は約43%減少、うつ症状は約41%減少し、いずれも大きな効果量(Cohen's d 2.39~3.41)が確認された。一方、プラセボ群にはほとんど変化がなかった
- 日常の記憶力も約24%改善し、睡眠の質も有意に向上したが、日中の眠気には有意な効果は見られなかった