生活習慣病や慢性疾患と聞くと、糖尿病、心臓病、がんといった個別の病名を思い浮かべる方が多いかもしれません。それぞれ異なる病気として扱われ、異なる専門科で診療されています。
しかし近年の研究では、これらの慢性疾患には共通する細胞レベルの異常があるのではないかという考え方が広まりつつあります。
日本では超高齢社会の進行とともに、糖尿病や心疾患、がん、認知症といった慢性疾患の患者数が増え続けています。厚生労働省のデータでも、生活習慣病が医療費全体の大きな割合を占めている状況です。
一方で、食事や栄養が細胞の機能にどう影響するかについては、まだ十分に知られていないのが現状です。
今回紹介するのは、オーストラリア・マッケンジークリニックの研究チームが発表した包括的なレビュー論文をもとにした記事です。
栄養、ミトコンドリア、そして細胞内シグナル伝達という視点から、慢性疾患がどのように発生し進行するのかを体系的にまとめたものです。
査読付き学術誌International Journal of Molecular Sciencesに掲載されています。
記事の要点
- ミトコンドリアは単なるエネルギー工場ではなく、細胞の成長・修復・炎症・生存を制御する中枢的なシグナル調整役である。
- 現代の食生活に見られる慢性的な過栄養が、AMPK/mTORバランスを崩し、オートファジーの抑制や酸化ストレスの蓄積を通じて複数の慢性疾患の土台を作る。
- 果糖の過剰摂取、脂肪酸バランスの偏り、環境毒素への曝露が、インスリン抵抗性や慢性炎症を引き起こし、その影響は世代を超える可能性がある。