ビタミンDというと、骨を丈夫にする栄養素、あるいは冬に不足しやすく日光を浴びると体内でつくられる栄養素として知られています。ここまでは、なんとなく耳にしたことがある方も多いかもしれません。
炎症性腸疾患(IBD、潰瘍性大腸炎とクローン病の総称)を抱える方々にとって、ビタミンDはそれ以上の役割が注目されています。
チリのポンティフィシア・カトリカ大学を中心とする研究チームが、ビタミンDとIBDにおける腸の粘膜修復(粘膜治癒)との関係を包括的にまとめたレビューを、学術誌「Therapeutic Advances in Gastroenterology」に2026年7月31日付けで発表しました。
免疫の調整から腸のバリア、腸内細菌まで、複数の角度からビタミンDの役割をたどった内容です。
記事の要点
ビタミンDは炎症を進める免疫細胞の働きを抑え、腸のタイトジャンクション(細胞と細胞をつなぐ構造)を支え、酪酸をつくる腸内細菌を増やすという複数の経路でIBDに関わっていることが分かりました。
高用量のビタミンD補給を受けたIBD患者では、救急外来の受診が34%、入院が53%減少したという退役軍人コホート研究の結果が報告されています。
クローン病患者はビタミンDの吸収効率が健常者より約3割低く、同じ血中濃度に達するにはより多くの量が必要になることも分かっています。